称うれば盈ちるも消ゆるも知らねども なおも紡がん仏の御名(みな)を
滴塵042
本文
称うれば盈ちるも消ゆるも知らねども なおも紡がん仏の御名(みな)を
形式 #短歌
カテゴリ #1.仏法・教義
ラベル #仏 #念 #真言 #信仰
キーワード #称える #消える #紡ぐ #仏の御名 #信仰
要点
仏の名を称えても効果が見えなくとも、なお称え続ける信仰心。
現代語訳
称えれば満たされるか消えるかは分からないが、私はなお仏の御名を紡ぎ続けよう。
注釈
称うれば(となうれば):仏の御名を唱えれば。
盈ちるも消ゆるも知らねども:称えることによる功徳の成果が不確実であること。功徳が満たされるのか、それとも全てが無駄に消えるのか、結果は分からないけれども。
なおも紡がん:未来形で「紡ぎ続ける」の意。それでもなお、繰り返し唱え続けよう。
解説
信仰とは、結果を求めず行為そのものに意味を見出すことを示す短歌。言葉を紡ぐ行為が信仰の実践であり、無常の中で持続する心を描く。
深掘り_嵯峨
滴塵041に続く「称名(しょうみょう)」、すなわち仏の御名を唱える行為(密教では真言の念誦)に焦点を当てた歌です。
称名によって救済が得られるのか(盈ちる)、それとも何の効験もないのか(消ゆる)、その結果を保証するものは何もないという信仰の不確実性を認めながらも、「なおも紡がん」と、ひたすらな行為そのものに救いを見出そうとする、純粋で強い意志が表明されています。見返りを求めない、無償の信仰心の表明です。